近年、外壁の赤外線調査にドローンを用いる会社が増えてきました。
従来の打診調査方法よりも低コストを実現しやすく、調査過程を写真データで残せる信憑性の高さに注目を集めていることが理由です。
とは言え、ドローンは比較的新しい技術。
お客様にとってみれば調査概要から費用に至るまで、不明瞭な点も少なくありません。
そこで今回は、実際の事例も紹介しつつ、ドローン赤外線調査について一緒に理解を深めていきたいと思います。
ドローン点検?赤外線調査とは?最新の外壁調査方法のご紹介
まず赤外線調査の概要をご紹介していきましょう。
赤外線調査とは、外壁の表面と外壁表面の温度を可視化させる2種類の写真から劣化状況を解析していく手法のことを指します。
外壁のタイルの”浮き”や破損、雨漏りなどの内部の劣化は表面の温度差から解析を進めていくことができるのです。
以下の画像をご覧下さい。
建物を赤外線に当てることで、温度の高低はグラデーションで表示されます。
テレビで見るサーモグラフィー映像を思い出された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この温度がどう解析に役立つのか、次に外壁のタイル劣化の過程を解説し、順番にご説明していきましょう。
職人の腕に左右されにくく建物の美観を整えやすいタイルは耐久性も優れており、マンションやビルの外壁に広く用いられております。
上の図はタイルと外壁の構造、剥がれ落ちるまでの進行具合を簡易的なイラストにしたものです。
茶色がタイル、灰色の部分はタイルを貼り付けるコンクリートの下地部分を示しております。
四季の寒暖差でパネルや下地が伸縮したり、接着部分に隙間が生まれ「浮き」と呼ばれる状態になります。
劣化を放置しておくことで、浮きのスペースは徐々に広がることもお分かり頂けるでしょう。
無論、最終的には剥離し落下してしまいます。
さて、ここに温度を可視化させる意義があります。
この浮きのスペースは熱がこもりやすく、劣化をおこしていない箇所と比較すると、表面温度が高くなる特徴を持っているのです。
その逆、周囲の壁面よりも低温の箇所は雨漏りを起こしている可能性も考えられます。
判断を下すには、単純な温度変化だけでなく、建物の向きや天候、周囲の状況を判断しながら診断していきますが、基本的には温度変化の感知によって外壁劣化を判断します。
赤外線調査では、見てわかるひび割れやパネルの欠落だけでなく、初期のパネルの浮きの状態から判別が可能になります。
外壁点検・調査で活用されるドローン赤外線調査
従来の建物の点検では、足場を組んだり、ゴンドラを吊ったりして目視と叩いた音で修繕箇所を判断する打診での確認が中心でした。
一方で、この点検方法では、莫大なコストや期間がかかる恐れがあり、マンションの管理者が気軽に外壁点検を依頼できない状況を引き起こしていました。
赤外線調査であれば、大掛かりな準備も必要なく、短期間で調査ができます。
赤外線調査の手法の一つに、地上から赤外線を当て測定・調査する方法があります。
しかし地上からの赤外線調査は赤外線が45度以上傾くと精度が極端に下がるため、高層建築物に向けて赤外線を当てる際には十分な距離を取らないといけないという弱点がありました。
現実的に道路幅の狭さや十分な空間が取れず、地上からの赤外線調査は使用される場面が少なかったのです。
そこで、ドローンであれば対象の高さにカメラを当てるために飛ばせば良いので、難点を克服することができました。
また、ドローンに赤外線だけでなく画像を撮影できるカメラが付くことによって、目視でより詳細に損傷の状況が確認できます。
以上ご説明いたしましたが、ドローンの赤外線調査の利点をまとめると下記になります。
・超高層マンションやビルなど、比較的人の手では入りづらい場所の調査・点検ができる
・従来の足場を組み立てるような調査に比べると、時間が掛からない
・調査時に写真も残るため、第三者から見ても納得の調査ができる
このように従来の外壁調査に比べて、メリットの多いドローン赤外線調査ですが確かな操縦技術と建築知識がなければ、外壁の劣化判断もできなくなります。
赤外線はカメラの位置がズレてしまうだけで、色合いが変化してしまいます。
また、タイルに汚れがあると、汚れに熱が集まるため高温になり、一見浮きと間違う判断をしてしまいかねません。
ドローンを扱えたとしても、建築に詳しくなければドローンの誤操作なのか、カメラの当て方のミスなのか、実際の調査内容を判断することは難しいのです。
そのため、調査依頼をお願いする時にはこれまでの実績や建築知識も十分にあるかを確認するべきでしょう。
ドローンでの赤外線外壁調査を専門会社へ依頼するケースが増加
ドローン赤外線調査は第三者から見ても修理可能か判断できる写真やデータが揃うため、外壁調査としての利用が進んでいます。
特に、マンションの理事会、自社ビルを持つオーナー、不動産会社など、マンションの管理者が、第三者となる調査機関へ依頼するケースが増えてきました。
彼らが、ドローン赤外線調査を依頼する理由の一つに「報告の透明性が従来の調査よりも高い」ことが挙げられます。
ドローンでの赤外線調査の場合、温度変化の写真や外壁の画像がデータとして提示されるため、素人でも修繕すべき箇所が把握しやすくなります。
一方、従来の足場を組んで行う外壁点検は目視打診と職人による報告となります。
たとえ、補修箇所の報告と修繕の見積もりの説明を建築会社から受けたとしても、管理組合やマンションオーナーは報告内容と提示金額が本当に正しいのか確認も検討もできません。
工事も合わせて受託する建設業者が調査を行う場合、「修繕の受注を取りたくて多く補修箇所を報告してくるのでは無いか」という不安をマンション管理者側は抱いてしまいかねません。
建設会社もきちんと調査を行い、当初想定していた以上の修繕箇所が見つかり修繕金額が見積もり高額になってしまった際には、金額の正当性を説得する必要があります。
管理者が疑念を抱いている状態では、説得することも難しいでしょう。
ドローン赤外線調査であれば、写真で詳細に修繕箇所を示せるため、誰から見ても確認できるデータを提示できます。
また、第三者である調査専門の会社であれば中立な立場で報告するため、透明性も高く建設会社とマンション管理組合の双方にご納得いただける調査が可能です。
スカイステージはドローン操作技術と建築知識を兼ね備えたドローン点検のプロ
スカイステージは、ドローンサービスに特化した一般社団法人です。
今回ご紹介している大規模修繕前の赤外線外壁調査だけでなく、3D測量やドローンの資格取得支援までドローンを用いる現場に関して幅広く対応しており、社会のドローン利用を推進しています。
外壁調査もしっかりお客様が修繕すべき箇所を見極めて報告。
あくまでも中立な立場からの外壁調査を行います。
当団体ではドローンスクールも運営しており、実際に建築業者向けの講座も開講しています。
だからこそ赤外線カメラの操作ミスも判断できるため、正確性の高い外壁調査ができると自負しています。
また、団体代表の岩根は外壁の下地補修の現場経験もあるからこそ、外壁劣化の理屈を理解しています。
これまで外壁修繕の経験を活かし、調査後の工事についてのアドバイスも可能です。
団体内に一級建築士も在籍しているため、外壁調査に対して適切な判断が下せます。
他のドローン調査会社と比べて力を入れている点が、安全なドローンの操縦・飛行です。
通常のドローンスクールでは建設業界業務特有の申請の必要性までは教えていないため、ドローン業者の中には知識が欠けたままサービスを提供しているところもあります。
本来であれば、住宅街や建物が密集しているエリアでは、ドローンの操作するための飛行申請や周囲への安全措置が必要です。
特に、周辺住民に対するドローン飛行周知は、安全上の問題だけでなく、調査業務をスムーズに行うために必要です。
調査周辺地域の事前周知を行わずにドローンを飛ばしていると、周辺の住民から自宅が撮影されているのではないかと不信感をもたれ、警察への通報に繋がって調査作業に支障が出るリスクもあります。
弊団体では、現場に合わせて飛行申請を行い、法律に沿ったドローン飛行を心がけています。
加えて、必ず周辺地域にドローンの操縦目的の周知を行い、スタッフの安全確保も行った上でドローンを飛ばしています。
スカイステージのドローン赤外線調査・点検 大阪での調査事例をご紹介
弊団体では大阪でマンションのドローン赤外線調査の実績がございます。
今回は事例を紹介しつつ、どのような点に気をつけて調査させていただいているか解説していきます。
大阪ドローン赤外線調査事例:大規模修繕前調査
こちらのマンションでは、壁面のタイルの浮きの調査をご依頼いただきました。
既に以前の大規模修繕から6年経過。その際に修繕はしていたものの、修繕が適切だったのか、現場がどのような状況なのか確認する目的がありました。
加えて、もう一つの目的として、次回の大規模修繕に備えて修繕費用の見積もりを出し、次回の大規模修繕に備えたいというご要望もございました。
そのため、外壁をしっかり調査して現場をお伝えする必要がありました。
ドローン赤外線調査として気をつけたのは、ドローン飛行の安全性の確保です。
道路上で飛ばすことになったため、ドローン飛行の包括申請許可が利用できず、エリア個別で道路許可を申請しました。
弊団体では必ず現場の状況に合わせて、人員体制を組んでいます。
今回の現場ではトンビがよく飛んでおり、鳥がドローンに衝突する恐れもあったため安全監視員も3名体制で調査を進めました。
周辺地域にもドローン飛行について、事前にチラシでお知らせ。
飛行しているドローンがどこを映しているのかわからないため、恐怖を感じる住民がいらっしゃいます。
そのため、事前にドローンが見えるお宅には全てチラシ配布して周知を徹底しました。
大阪ドローン赤外線調査事例:マンション外壁剥落調査
こちらのマンションは住宅密集地の中に立っており、壁面のタイルが落ちてしまいました。
ご依頼者の不動産会社は、マンションの管理を新しく引き継いだ経緯もあり、外壁修繕のための見積もりを出す必要がありました。
元来の状態がわからないため、そもそもの外壁施工が悪かったのかなど、元々の施工の調査も兼ねたご依頼となりました。
加えて、マンションの定期点検以外の時期ということで、オーナーも改修資金をしっかり積み立て準備しているわけではありません。
不動産会社も予算の根拠として、劣化の状況と証拠を提示しなければ納得されない恐れがありました。
道路に面した箇所のみ外壁調査を行いました。
他のマンションに隣接している壁面は、紫外線が当たらない箇所なので経年劣化は穏やかであり、万が一タイルが落ちたとしても人の立ち入りが無い場所なので危険性は下がります。
また、隙間があまりにも狭すぎる場合は、ドローンでの調査が無理な場合もございます。今回は主にタイルが剥落した壁面を中心に調査してほしいとのご依頼でした。
弊団体はドローン専門ではありますが、ドローンが飛べない場所でも従来のゴンドラ、足場を組んでの調査にも対応可能です。
ドローンが飛ばせるのか、別の調査が適しているのかなども判断できますので、お気軽にご相談ください。
大阪ドローン赤外線調査事例:ダクト溝の詰まりの確認
ダクト溝の穴に物が詰まっていないかどうか確認することが、理事会で決まった経緯がありご依頼いただきました。
実際にマンションを確認すると、ゴンドラをかけることができない場所であり、ドローンでの調査が適切な現場でした。
ドローンでは一回の飛行で横幅約1kmほどの壁幅を撮影可能です。
ドローンの飛行拠点によって全て壁一面を一回の飛行で取り切ることはできないので、実際には拠点を変えながら数回往復することにはなります。
例えば電線があるような場所は、ドローンが引っかからないように飛ばす地点を何度も変える必要があります。
弊団体では安全管理を含めてドローンを飛ばす拠点を設置していますが、基本的には簡潔に済むように配慮しています。
ドローン点検の赤外線調査にかかる費用の内訳
実際にドローンの赤外線にはどのような費用の内訳がかかるのでしょうか。
弊社のドローンの赤外線外壁調査を例に項目をご紹介します。
・ドローンパイロット1名
・補助者1名
(原則ドローンライセンス保持者のみ)
・赤外線ドローン機体1機
・申請
(DIPS申請:オンラインでの無人航空機飛行許可申請,FISS申請:ドローン情報基盤システムへの飛行計画申請)
・赤外線解析書/報告書
(報告項目:汚れ 雨漏れ ひび割れ 塗膜剥がれ 欠損 露筋欠損 モルタル浮き タイル浮き その他異常部
※お客様の希望する調査項目、必要な内容を事前にお伺いいたします)
建物の大きさや調査内容によって、パイロットや補助者の人数も変化します。また、報告書もお客様が必要とするデータに合わせて作成することも可能ですので、お気兼ねなくご相談ください。
ドローンは外壁調査以外にも様々活躍!ドローンが活躍する調査・点検のご紹介
先ほどご紹介したような大規模修繕前の調査以外にも、ドローンは様々な場所で活用されています。
弊社でも提供している、ドローンサービスを一つ一つご紹介していきます。
橋梁の劣化調査
橋梁は建築されてから長い期間を経ると、外の雨風や橋の使用によって徐々に傷んでいきます。
国や地方自治体では定期周期で点検を実施されており、早期の劣化発見・修繕に務めています。
ドローンを用いた調査では、接続部のサビ、塗装の剥がれ、コンクリートの劣化などを可視カメラを用いて撮影できます。
従来の人の目や打音で確認する調査方法に比べて、ドローンの橋梁調査は、調査期間の短期化、作業員の安全性の確保、高精度な調査が行える、人員が少なく済むといったメリットが挙げられます。
鉄塔点検
赤外線搭載のドローンであれば、電圧が通過の有無も判断可能です。
また、視覚的なひび割れや異常も写真撮影によって判明しやすくなります。
高所での作業や、立ち入りが難しい箇所には特にドローンが最適でしょう。作業員を危険な場所での点検からも守ります。
重要文化財の点検・調査
重要文化財に指定されている建築物は点検の際には、ドローンによる非破壊点検がおすすめです。
従来の足場を組み立てた点検では、足場を組む時点でアンカーを打ち込むなど、穴を開ける必要もあるため必然的に建築が傷ついてしまいます。
ドローンを飛ばして建築物全体を撮影することで、建築に直接接触せずに点検が可能です。
3D測量
ドローンで上空から写真を撮影、レーザーを照射することで、地形を三次元で測定します。
家屋建設や土地開発のための調査、大雨や地震の大災害時の地滑りなどの被害調査で必要とされます。
ドローンによる測定では500円玉サイズの誤差も感知可能。地上での測量とドローン測量を組み合わせることで、精度の高い測量を実現します。
特に測量地が危険な場所や、竹藪など人が入りにくい場所では、ドローンによる測定が最適です。
ドローンのレーザーは葉っぱの下でも地形を感知できるため、地形が谷底になっているような場所は人の調査に比べてドローンが有利となります。
現在ドローンは様々な調査の場面で活躍しています。
記事の中でも述べたように、スカイステージは赤外線外壁調査だけでなく土地の測量や建築物の点検にも幅広く利用されています。
・大規模修繕の時期ではないが、外壁調査を行いたい
・第三者が見ても分かるようなデータ・報告が必要
・人の手では難しい点検業務・調査業務を代わりに行う業者を探している
上記でお悩みのお客様はぜひ一度スカイステージ へご相談ください。
お客様の必要とされているデータや建築物によって最適な調査をご提案させていただきます。