ドローン外壁調査業者が解説！外壁調査の実施方法・手順とその精度について

外壁の主な劣化症状

建物の外壁は、長年にわたって日光、雨風、温度変化などの自然環境に晒され続けています。これらの環境条件により、外壁は徐々に劣化し、以下のような症状が現れることがあります。

赤外線外壁調査の流れを理解する前に、外壁の代表的な劣化症状を見ていきましょう。

• ひび割れ：外壁材の収縮や建物の沈下によって、細かいひびから大きな割れまで様々なひび割れが起こります。築年数8年～10年ほどから現れる症状です。
• 色あせ：紫外線や雨水の影響で塗装が退色し、見た目にも明らかな変化が生じます。
• 塗膜の剥がれ：塗料の劣化により、塗膜が剥がれ落ちることがあります。
• カビや藻の発生：湿気の多い場所では、カビや藻が生えやすく、これは外壁をさらに劣化させる原因の一つです。
• 水漏れ：外壁の防水機能が低下すると、雨水が内部に侵入して水漏れを起こすことがあります。

これらの劣化症状は、建物の美観だけでなく、耐久性や安全性にも影響を及ぼします。そのため、専門業者による定期的な外壁点検と適切なメンテナンスが欠かせません。

赤外線外壁調査の実施方法と手順

外壁の劣化状況を正確に把握するため、ドローンによる赤外線調査が有効な手段として用いられています。赤外線カメラ搭載のドローンを用いて外壁の温度分布を可視化することにより、目で見えない劣化の兆候を検出します。

ドローンによる赤外線外壁調査の手順は以下のとおりです。

• step1．調査計画の立案：調査範囲と目的を明確にし、最適な時期と天候条件を選定します。
• step2．機材の準備：赤外線カメラが搭載されているドローンを準備します。非接触で撮影と点検を行えるため、基本的に作業員は地上から調査を行いますので、打診調査のように足場を組んだり、他の機材を用意したりする必要がありません。
• step3．現場での点検・調査の実施：建物の外壁を系統的に走査し、赤外線画像を撮影します。このとき、内部の熱損失や水分の蓄積などが温度差として現れます。
• step4．画像の分析：撮影された画像をもとに温度差を詳細に分析し、異常や劣化の可能性がある箇所を特定します。
• step5．報告書の作成：分析結果を整理し、適切な修繕方法やメンテナンスの提案を報告書としてまとめて完了です。

赤外線外壁調査の精度について

赤外線外壁調査は非破壊検査の一種であり、外壁の温度を測定することで表面や内部の状態を推測することです。ドローンによる赤外線外壁調査の精度は非常に高いとされ、劣化診断の正確性を飛躍的に向上させる可能性を持っています。

• 撮影の角度：ドローンは自由な飛行角度を保ちつつ撮影を行えるため、建物の外壁に最適な角度（法線に対して30度以内）から赤外線画像を取得することが可能です。これにより、従来の地上からの撮影では見逃しがちな部分の熱損失や水分の蓄積なども発見できます。
• 撮影範囲と距離：ドローンは高所や難アクセスな場所にも容易に到達できるため、外壁全体の赤外線データを効率的に収集できます。また、ドローン撮影なら対象物から離れすぎず距離を保ちながら飛行できるため、より正確な温度分布を捉えることが可能です。
• 垂直方向の撮影：ドローンを使うことで、壁面に対して垂直方向、またはそれに近い位置を保ちながら撮影できます。これにより、画像の歪みが少なく、より実情に近い状態のデータを得られます。これは、特に外壁の平面的な劣化や熱橋（ねっきょう）の検出において重要です。

以上の点から、ドローンを用いた赤外線外壁調査は、従来の手法に比べて、より広範囲かつ詳細なデータを収集し、建物の保全に大きく貢献する技術といえます。ドローンの操縦技術と赤外線カメラの運用ノウハウを組み合わせることで、建物診断の精度を向上させることができるのです。