屋上フライトと現場判断で乗り越えた、都心部の外壁調査
大阪市中央区龍造寺町周辺での外壁赤外線調査の現場レポートです。屋上からの離着陸、電線・隣接建物への対応、カラスによる鳥害リスクへの対処など、都心部ならではの現場判断の重要性をまとめました。
2026年5月
大阪市中央区龍造寺町周辺
ビルオーナー様
依頼背景
大阪市中央区龍造寺町周辺の10階建て・タイル張り建物について、外壁の現状確認のご依頼をいただきました
本物件は、大阪市中央区龍造寺町周辺に立地する10階建て・鉄筋コンクリート造・タイル張りの建物です。都心部に位置するため、周囲には高層建物や隣接建物も多く、敷地内も決して広いとは言えない環境でした。近くには大阪城エリアもあり、鳥害リスクも想定される現場でした。
今回の現場は、「ドローンを飛ばせば調査できる」という単純なものではありませんでした。どこから離着陸するのか、どの面から調査するのか、電線や隣接建物との距離をどう確保するのか、鳥害にどう対応するのか、周囲の安全をどう守るのか。そういった現場判断が非常に重要になる調査でした。
今回は、ドローンによる赤外線調査と可視画像の撮影を組み合わせながら外壁の状態確認を進めました。また一部ではロープアクセスによる打診調査も実施し、外壁全体の状況を多角的に確認しました。
調査内容
- ドローンによる外壁赤外線調査(DJI Matrice 350 RTK + Zenmuse H30T)
- 可視画像撮影(DJI MAVIC 4 PRO)
- 屋上からの離着陸による安全確保
- 東・北・南・西面の4面調査
- 鳥害(カラス)への対応
- ロープアクセスによる打診調査(一部)
今回の調査を担当したのは、一般社団法人SKYSTAGE 岩根義行です。また、有限会社三星美装の堀岡さんにも同行していただきました。堀岡さんは約4年前にSKYSTAGEのJOBパイロットコースを受講された方で、現在はロープアクセスによる窓清掃や外壁関連業務を行っており、高所作業の現場経験も豊富な方です。
SKYSTAGEでは、資格取得だけで終わらせるのではなく、実際の現場でどのようにドローンを活用するのかを重視しています。今回のような都心部の調査現場では、操作技術だけでなく、周囲確認や補助者との連携など、安全管理としての判断力が求められます。

赤外線調査(DJI Matrice 350 RTK + Zenmuse H30T)
建物外壁の温度分布を確認し、タイル浮きや内部異常の可能性がある箇所を抽出します。方位・日射・時間帯・周辺環境も踏まえて読み解きます。

可視画像撮影(DJI MAVIC 4 PRO)
赤外線調査と組み合わせ、外壁の表面状態を可視画像で記録します。赤外線で反応が出た箇所と照らし合わせ、判断の精度を高めます。

補助者との二人体制による安全管理
操縦者だけでは確認しきれない周囲の状況を、ロープアクセス経験者の補助者が確認・声掛けすることで、安全な調査を実現しました。
現場の様子
今回の現場は、建物周辺のスペースがかなり限られていました。地上から安全に離着陸できる場所を確保する≈ことが難しかったため、現場状況を確認したうえで、屋上からのフライトを選択しました。
ドローン外壁調査では、機体性能だけでなく、離着陸場所の判断も非常に重要です。特に都心部では、地上に人や車両が多く、隣接建物との距離も近いため、無理な飛行計画は事故につながります。屋上から安全に離着陸することで、周囲へのリスクを抑えながら調査を進めることができました。
今回の建物は、面ごとに周辺環境が大きく異なっていました。東面は建物間の距離が近く、機体の位置やカメラの角度を慎重に確認しながら進める必要がありました。北面は特に狭く、隣接建物との距離感にかなり注意が必要でした。南面は駐車場側に面しており比較的障害物は少ない一方、西面は電線や周辺構造物が多く、今回の中でも特に注意が必要な面でした。
同じ建物でも、東西南北それぞれで飛行条件はまったく違います。事前に決めた通りに進めるだけではなく、現場で状況を見ながら判断していくことが、都心部の調査では特に大切です。
確認された状況

今回の調査では、現時点で大きな異常や緊急性の高い劣化は多く見受けられない印象でした
今回の調査で特に印象的だったのが、カラスの接近です。周辺には大阪城エリアも近く、実際に何度かカラスが機体に近づいてくる場面がありました。こういう時ほど慌てず、基本通りの対応が重要です。
- カラス接近時は上昇で距離を確保し安全に回避
- 東西南北4面の飛行条件を個別に確認・判断
- 屋上離着陸により地上への影響を最小化
- 補助者の周囲確認と声掛けで安全管理を徹底
- 赤外線・可視画像・打診を組み合わせた多角的な確認
- 無事故で予定通り2日の調査を完了
鳥は横方向や下降方向には素早く動きますが、下から上に追いかける動きは苦手な傾向があります。そのため、無理に横へ逃げるのではなく、状況を見ながら上昇して回避しました。結果として、接触や事故もなく安全に調査を継続することができました。
最終的な調査結果は、赤外線データ・可視画像・打診結果を総合的に確認し、報告書として整理していきます。何より、無事故で終えられたことが一番です。
ドローン外壁調査では、調査結果の精度を高めるために現場での判断が不可欠です。緊急性のある箇所と経過観察でよい箇所を分けて考えることで、建物オーナー様の次回修繕計画や予算判断に役立てることができます。
カラス接近への対応
横に逃げるのではなく上昇して距離を確保。基本通りの対応が安全につながります。
面ごとの飛行判断
事前計画と現場判断の組み合わせで、電線・隣接建物・狭小スペースに対応しました。
安全第一での完了
補助者との連携・声掛けを徹底し、周囲への影響を最小限に抑えながら調査を完了しました。
現場での判断(声掛けと補助者連携)
今回、堀岡さんと一緒に現場を進める中で、改めて感じたことがあります。それは、ドローン外壁調査では操縦技術だけでなく、周囲確認と声掛けが非常に重要だということです。
特に今回のような都心部の狭小地では、電線・隣接建物・歩行者・車両・鳥・GPS環境・風の流れなど、注意すべき要素が多くあります。操縦者がすべてを一人で確認し続けるのは難しい場面もあります。そのため、補助者との連携や声掛けが安全な調査には欠かせません。
堀岡さんは、もともとロープアクセスの現場経験があるため、危険予測や周囲確認の感覚が非常に鋭く、安心して現場を進めることができました。「高所や狭所でのリスク感覚」は、ドローン調査の安全管理にも直結します。
建物調査では、機械や画像だけで完結するのではなく、現場の状況を把握しながら補助者と声を掛け合い、安全を確保しながら進めることが重要です。発注者にとっても、安全に、かつ確実に調査が完了することが何より大切です。
受講生の背景と現場同行
今回同行していただいた堀岡さんは、約4年前にSKYSTAGEのJOBパイロットコースを受講された方です。受講後は、ロープアクセスによるビルの窓清掃や外壁関連業務を行っており、高所作業の現場経験も豊富です。久しぶりに調査現場に同行していただき、実際の外壁調査の流れや現場での判断・安全管理を一緒に確認する機会にもなりました。
今回の現場では、ドローン調査が「撮影するだけの業務」ではなく、都市環境の中で安全を確保しながら建物の状態を読み取る仕事であることを改めて体感していただけたと思います。堀岡さんからも、「久しぶりに調査現場に同行できて良かった」という感想をいただきました。
受講生にとっては、ドローン操作だけではなく、建物を見る視点・都心部でのリスク判断・補助者としての安全管理の役割を学ぶ機会にもなりました。このような気づきは、座学だけでは得にくいものです。
SKYSTAGEとしても、受講して終わりではなく、その後の実務や現場経験につながる関係性を大切にしていきたいと考えています。インストラクターが現場でどのように確認し、どのような声掛けや判断を行うのかを見ることも、受講生にとって大きな学びになります。
今回の調査から見えたこと
今回の現場では、ドローンによる外壁赤外線調査だけでなく、ロープアクセスによる打診調査も一部実施しました。ドローンは建物全体を効率よく確認することに強みがあります。一方で、近接して確認する必要がある箇所や、実際に打診で確認したい箇所については、ロープアクセスや人の手による調査が有効です。
つまり、どちらか一方が優れているということではなく、建物や現場条件に応じて最適な方法を組み合わせることが大切です。今回のように、ドローン調査とロープアクセスの知見が組み合わさることで、より現実的で精度の高い建物調査につながります。
都心部の調査現場は、技術だけでなく現場を読む力が問われます。こうした実際の経験の積み重ねが、建物調査の品質につながると考えています。
まとめ
今回の大阪市中央区龍造寺町での外壁赤外線調査は、都心部ならではの難しさが詰まった現場でした。狭い敷地、隣接建物、電線、屋上からの離着陸、そしてカラスの接近。一つひとつの状況を確認しながら、無理をせず安全第一で調査を進めました。
ドローン外壁調査は、今後さらに活用が広がっていく分野です。しかし、そのためには「飛ばせる技術」だけでなく、「現場を読む力」と「補助者との連携」が必要です。SKYSTAGEでは、これからも実際の現場経験を大切にしながら、安全で実用的なドローン外壁赤外線調査を行ってまいります。
スカイステージの取り組み
スカイステージでは、こうした実際の現場をベースにした講習として「JOBパイロットコース」を実施しています。次のような方におすすめです。
- 未経験からドローンを仕事にしたい方
- 資格取得だけで終わらせたくない方
- 現場で通用するスキルを身につけたい方
- 建物調査や赤外線調査に興味がある方
ドローンの仕事は、資格を取ることがゴールではありません。実際の現場で何を見て、どう判断し、どのように発注者へ価値を提供するかが重要です。スカイステージでは、実務に基づいた講習と現場経験を通じて、仕事に繋がるドローン活用を目指しています。
また、外壁調査や漏水調査、修繕判断についてのご相談も承っております。建物の状態確認や修繕計画でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
外壁赤外線調査/漏水調査/JOBパイロットコースについては、一般社団法人スカイステージまでお気軽にご相談ください。
