マンションオーナーの建物管理ガイド|5つの判断基準を整理しました

一般社団法人スカイステージのこの記事では、マンション・アパートのオーナーが建物管理で迷う判断を、修繕積立金・大規模修繕の時期・外壁落下の責任・管理会社の選定・空室対策の5つに整理しています。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金が計画に対して不足している管理組合は36.6%です。判断の物差しは公開されており、感覚ではなく基準で決められます。

判断テーマこの記事の答えの要約
修繕積立金20階未満・延床5,000㎡未満の目安は平均335円/㎡・月
大規模修繕の時期現行ガイドラインの周期は一般的に12〜15年
外壁落下の責任民法第717条により、所有者は無過失でも責任を負う
管理会社家賃回収だけでなく、建物の報告・提案があるかを見る
空室対策賃料を下げる前に、内見で見える外壁と雨漏りの痕跡を直す
金額・周期は国土交通省ガイドライン。責任は民法第717条。調査費用の自社実例は後段。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金が計画に対して不足している管理組合は36.6%、空室があるマンションは34.0%です。3棟に1棟以上で積立金が足りず、3棟に1棟で空室が出ています。この2つが同時に進んでいるのが、いまのマンション経営の前提です。

項目数値出典
修繕積立金が計画に対して不足している管理組合36.6%(前回比+1.8ポイント)国土交通省 令和5年度マンション総合調査(報道発表)
長期修繕計画(計画期間25年以上)に基づいて積立金を設定しているマンション59.8%同上
賃貸住戸があるマンション77.8%同上
空室があるマンション34.0%同上
70歳以上の世帯主の割合25.9%(昭和59年以前のマンションでは55.9%)同上
全国の空き家900万2千戸・空き家率13.8%(過去最高)総務省 令和5年住宅・土地統計調査(確報)
マンション総合調査は令和6年6月21日公表。空き家数は速報899万戸ではなく、確報の900万2千戸を採用しています。

さらに近年は資材費と人件費の上昇により、10年前に立てた長期修繕計画の金額では工事が発注できない事例が増えています。「計画どおり積み立ててきたのに足りない」という相談が増えているのはこのためです。一般社団法人スカイステージは、ドローンと赤外線カメラによる外壁・屋根の調査を専門に行っており、マンション・ビル・学校・病院の建物を見てきた立場から、オーナーがつまずく判断基準を以下にまとめます。

マンションオーナーが判断に迷う場面は、修繕積立金、大規模修繕の時期、外壁落下の責任、管理会社の選定、空室対策の5つに整理できます。いずれも国土交通省がガイドラインや調査結果を公表しており、判断の物差しは公開されています。値上げ幅も修繕年も、建物がいまどこまで傷んでいるかが分からないと決まりません。

修繕積立金が足りないとき、いくらまで上げるべきですか?

国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)は、専有床面積あたりの積立金の目安を建物規模別に示しています。20階未満・延床5,000㎡未満の平均値は335円/㎡・月、事例の3分の2が収まる幅は235〜430円/㎡・月です。機械式駐車場がある場合は、この目安に加算が必要です。

建物の規模平均値事例の3分の2が収まる幅
20階未満・延床5,000㎡未満335円/㎡・月235〜430円/㎡・月
20階未満・延床5,000〜10,000㎡252円/㎡・月170〜320円/㎡・月
20階未満・延床10,000〜20,000㎡271円/㎡・月200〜330円/㎡・月
20階未満・延床20,000㎡以上255円/㎡・月190〜325円/㎡・月
20階以上338円/㎡・月240〜410円/㎡・月
出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)。機械式駐車場分は除く。

この目安は「平均的な建物」の数字です。実際にいくら必要かは、建物が現在どこまで傷んでいるかで変わります。値上げ幅を決める前に、建物の現状を数値で把握することが先です。手順の詳細は修繕積立金が足りないときの判断手順。大規模修繕の費用感は大規模修繕の適正価格とドローン赤外線調査もご覧ください。

大規模修繕は12年周期ですか、15年周期ですか?

「12年周期」は広く知られていますが、国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)が示す大規模修繕の周期は、部材や工事の仕様により異なり、一般的に12〜15年程度です。外壁塗装(雨掛かり部分)の塗替、シーリング打替、タイル張補修はいずれも12〜15年、屋上防水の補修・修繕も12〜15年(撤去・新設は24〜30年)です。

同ガイドラインは計画期間を「30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」とし、5年程度ごとの見直しを前提としています。周期は固定値ではなく、建物の状態で調整するものとして設計されています。根拠は長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定)です。周期の決め方は大規模修繕は12年か15年かにまとめています。

外壁が落ちたとき、オーナーは責任を負いますか?

負います。民法第717条は、建物などの工作物の設置・保存に瑕疵があって他人に損害を与えた場合の責任を定めています。第一次的には占有者が責任を負いますが、占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が責任を負い、所有者は注意をしていたことを理由に責任を免れることができません。

加えて、建築基準法第12条に基づく定期報告では、平成20年国土交通省告示第282号により、竣工または外壁改修から10年を超え、かつ過去10年以内に全面打診等を行っていない場合、3年以内に外壁の全面打診等が必要とされています。報告の頻度や対象となる建物の範囲は、所在する特定行政庁(自治体)の指定により異なります。オーナーの法的責任の整理は外壁タイル落下とオーナーの責任。12条点検の位置づけはドローン外壁調査は建築基準法改正により明文化!12条点検とはをご覧ください。

賃貸管理会社は何を基準に選び、いつ変えるべきですか?

一般社団法人スカイステージが受ける相談では、管理会社への不満として「報告がない」「提案がない」の2つが多く聞かれます。家賃回収と入退去の手続きだけが行われ、建物そのものが誰にも見られていない状態が続くと、劣化の発見が大規模修繕の直前まで遅れます。報告の頻度、建物の写真付き点検、修繕の提案があるかを基準に選び、それが途切れたときに見直しを検討します。

比較項目と変更手順は賃貸管理会社の選び方と変え方。不動産管理会社から見た調査の使い方は不動産管理会社から見た「ドローン外壁調査」のメリット、調査そのものの業者選びはドローン外壁調査の業者はどう選ぶ?資格と見積りの見方を参照してください。

空室対策として、建物にいくらかけるべきですか?

総務省の令和5年住宅・土地統計調査(確報)では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%と過去最高です。賃料を下げる以外の差別化が必要になっています。外壁の汚れやひび割れ、雨漏りの痕跡は、内見時に入居者が最も敏感に反応する部分です。かける額は「空室1戸の機会損失」と「調査・補修の実費」を比べて決めてください。優先順位は空室対策と建物の見え方にまとめています。

修繕積立金の額、大規模修繕の時期、外壁落下の責任、管理会社の見直し、空室への投資額は、いずれも先に建物の劣化状況を数値で把握しないと決められません。一般社団法人スカイステージの調査実績では、ドローン赤外線外壁調査の費用は60万円〜89.6万円、15階建2棟・約250世帯のマンションでは税込781,000円でした。

大阪市中央区のホテル屋上。ドローンの前に調査メンバーが立ち、背景に大阪城が見える

かつては建物の現状把握に足場やゴンドラが必要で、費用も日数もかかりました。現在はドローンと赤外線カメラを使うことで、足場を組まずに外壁全面の状態を撮影・解析できます。国土交通省は、定期報告制度における外壁のタイル等の調査において、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する赤外線調査(無人航空機による方法を含む)を認めています。無人航空機による赤外線調査は、令和4年1月の平成20年国土交通省告示第282号改正で明確化されました。

監修:一般社団法人スカイステージ 建物診断チーム(一級建築士・赤外線診断士・二等無人航空機操縦士在籍)

マンションオーナーからよく聞かれるのは、まず何を確認するか、修繕積立金の不足割合、大規模修繕の周期、外壁落下時の責任、ドローン調査の可否、調査費用の6点です。一般社団法人スカイステージの回答を以下にまとめます。

マンションオーナーがまず確認すべきことは何ですか?

一般社団法人スカイステージでは、①長期修繕計画が5年以内に見直されているか、②修繕積立金が国土交通省ガイドラインの目安(20階未満・延床5,000㎡未満で平均335円/㎡・月)に対して不足していないか、③直近10年以内に外壁の全面打診等を実施しているか、の3点をまず確認することをお勧めしています。

修繕積立金が不足している管理組合はどのくらいありますか?

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金が計画に対して不足している管理組合は36.6%で、前回調査から1.8ポイント増加しています。出典は国土交通省の報道発表です。

大規模修繕の周期は何年ですか?

国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)では、大規模修繕の周期は部材や工事の仕様により異なり、一般的に12〜15年程度とされています。外壁塗装・シーリング打替・タイル張補修は12〜15年、屋上防水の補修・修繕も12〜15年です。計画期間は30年以上かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とされ、5年程度ごとの見直しが前提です。

外壁が落下して通行人がけがをした場合、オーナーは責任を負いますか?

民法第717条により、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていた場合は所有者が責任を負い、所有者は注意をしていたことを理由に責任を免れることができません。定期的な調査記録を残しておくことが実務上の備えになります。

ドローンによる外壁調査は法的に認められていますか?

認められています。国土交通省は、建築基準法第12条の定期報告における外壁の全面打診等について、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する赤外線調査(無人航空機による方法を含む)を認めています。無人航空機による赤外線調査は令和4年1月の告示改正で明確化されました。一般社団法人スカイステージはこの赤外線調査を専門に実施しています。

調査の費用はどのくらいかかりますか?

一般社団法人スカイステージの実例では、ドローン赤外線外壁調査の費用は60万円〜89.6万円です。15階建2棟・約250世帯のマンションでは税込781,000円でした。物件の規模・立地・報告書の分量によって変動します。内訳は費用の実例記事をご覧ください。

一般社団法人スカイステージでは、建物の状態から修繕の必要性を無料で確認できる建物診断シミュレーションをご用意しています。調査のご相談は建物診断ページからお問い合わせください。建物診断チーム(一級建築士・赤外線診断士・二等無人航空機操縦士在籍)が対応します。

お電話でのお問い合わせ:06-6914-4298(平日 9:00〜17:00)

マンション・ビル等の赤外線調査・外壁調査・修繕見積のご依頼は専用フォームから(担当が優先対応します)。

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